阪神電車の停車駅案内は途中まで、または途中から各駅に停まる設定がありますが、それぞれ状況やパターンによって案内形式が変わることをご存知でしょうか。
阪神電車内で先述の停車駅になる例としては、本線の特急や山陽のS特急、近鉄の準急などが挙げられますが、今回はそれらを細かく分けて見ていきましょう。
阪神本線 特急、山陽S特急の場合
阪神電車の特急は神戸三宮から各駅に停車します。かつては神戸高速線内(山陽線内は今も)は普通と案内することで有名ですが、阪神線内での放送はこちらとなります。
神戸三宮までの 停車駅は、…(中略)…御影です。神戸三宮から (終着駅)まで 各駅に停車します。
これが途中から各駅に停まる場合の基本形となります。
【2020年阪神・山陽ダイヤ改正新設定】 S特急編(高砂行き、東須磨停車ほか)放送まとめ
S特急の場合は
一方、阪神アプリや発車標での停車駅の案内は
神戸三宮以遠各駅(特急)
東二見以遠各駅(S特急)
となります。
直通特急(黄)神戸三宮から板宿までの各駅の場合
では続いて、神戸三宮から板宿まで各駅に停車する直通特急を確認しましょう。
停車駅は、…(中略)…神戸三宮から板宿までの各駅と 月見山…(中略)…飾磨です。
このようになります。神戸三宮から高速長田までの区間の場合は「板宿までの各駅と」から始まります。
阪神アプリ内や発車標表示では
神戸三宮から板宿までの各駅
という形でまとめられます。
しかし、これらの形式には問題もあり、かつて特急元町行きが設定されていた時はこのスタイルで無理やり処理されていたので「神戸三宮から元町まで各駅に停車します。」となっていました。神戸三宮から元町まで駅がないにも関わらず。
そのため、動画でのコメントでも「高速神戸行き特急や新開地行き特急なら阪急のように細かく読み上げてもいいのではないか」という尤もな意見がちらほら見受けられます。
阪神なんば線 (区間)準急の場合
さて、基礎的な文面を説明したところで、次に鶴橋まで各駅に停車し石切から各駅に停車する準急の案内を見ていきましょう。
実は、尼崎駅とそれ以外とで内容が異なり、まずは尼崎駅でのパターンです。
生駒までの 停車駅は、阪神なんば線 大阪難波までの 各駅と 近鉄日本橋 大阪上本町 鶴橋 布施 河内小阪 東花園 石切です。生駒から(大和西大寺 or 近鉄奈良)まで 各駅に停車します。
と、このように尼崎では阪神なんば線 大阪難波までまとめられます。
区間準急の場合は東花園から各駅、準急の場合は生駒から各駅として処理されています。区間準急はともかく準急は近鉄と違い、石切ではなく生駒基準になってるのでお間違いなく。
一方、大物から先、桜川までの区間は打って変わってこうなります。
放送詳細化!新たな通過メロディーも導入!大物駅ミニ自動放送集 【阪神電車】
生駒までの停車駅は、 出来島 福 伝法 千鳥橋 西九条…(中略)…東花園 石切です。生駒から(大和西大寺 or 近鉄奈良)まで 各駅に停車します。
そう、阪神なんば線 大阪難波までの各駅がまとめられる形ではなく、一駅一駅順番に案内されるなんとも非効率的な形式に化けるのです。
しかも、阪神アプリや発車標表示では最後、場所に関わらず
というように阪神なんば線開業に合わせて設定したためか近鉄に合わせた文面となっています。
大物から先で確認しているこの一駅一駅丁寧に駅を読み上げていくスタイルはここ最近阪神線内では普及が進んでいる傾向にあります。
神戸高速線での阪神大阪梅田行き 特急の場合
ここで確認するのは、神戸高速線における阪神大阪梅田行き特急の停車駅です。
ここまでの説明で阪神の特急は神戸三宮から各駅に停車すると語っていましたが、普通に考えるならここは「阪神神戸三宮までの各駅」として案内されるだろうと考えるでしょう。実際、山陽線内や阪神電車の運行管理システムが導入されるまでその形で案内されています(した)。
しかし、2016年改正で阪神電車の放送に更新されて以降は
という、一駅一駅丁寧に駅を読み上げるスタイルに生まれ変わりました。
最近になって省略形を用いるのがめんどくさくなったのか、はたまたただの気まぐれなのか…おそらく下りの言い回し(神戸三宮以遠各駅)はかなり昔から使われているため、それについては残したいのだろうと考えていますが、いずれにせよ真相は定かではありません。
しかしながら、下りの「神戸三宮以遠各駅」という形式もとある条件が付けば一駅一駅丁寧に駅を読み上げていくスタイルに化けることになります。
遅延時に種別、行先が変更された場合の停車駅案内
【阪神電車】【山陽電車】 2018年7月6日,7日 幻の超珍行先放送スペシャル 〜山陽須磨行き他〜
突発的に台風や人身事故などで行き先の変更がかけられた場合、それが絶対あり得ない組み合わせに限り、一駅一駅丁寧に読まれるスタイルとなります。
絶対あり得ない組み合わせというのは、有名なところでいくと区間準急西九条行き、動画の直通特急山陽須磨行き(特急は定期設定であるので変更なし)などが挙げられます。一方で直通特急東二見行きなどはかつて定期設定があったので形式の変更が反映されません。そこも押さえておくといいでしょう。
そして極め付けは、特急が突如臨時特急に化ける場合の停車駅案内です。
【阪神電車】人身事故の影響により出現 臨時特急 須磨浦公園行き自動放送 尼崎駅
ここ最近は確認例が消えましたが、ダイヤが乱れるとごく稀に定期設定の特急が臨時特急として処理されることがあり、その場合、定期設定がない行先と判断され強制的に一駅一駅読み上げるスタイルに化けるようです。
そのため、運が良ければ滅多に聞けない「須磨寺」や「山陽須磨です」などの激レア放送が聴けることができます。
その他、停車駅案内の形式設定について
ここでは各駅区間の説明とは別の停車駅の案内の各形式についてまとめておきます。
次の駅が終点、終着、各停区間の開始地点の場合
【阪神電車】駅小ネタ案内放送集 〜尼崎センタープール前駅(野田駅)限定通過待ち案内〜他
次の停車駅が終着駅の場合、「次は、終着○○です。」という案内になりますが、これはその停車駅との間に通過駅が一駅でも存在する場合にのみ適応されます。つまり、今津における西宮行き急行、桜川における大阪難波行き快速急行、神戸三宮における元町行きなどは全て停車駅案内そのものが丸ごと省略されます。
実際に聞いていないと勘違いされる方も多いと思うのでこれは押さえておきましょう。これも非常に効率の良い仕様になっています。
また、大阪梅田行きの場合は例外的に「次は、大阪梅田終点です。」となります。
そして、御影駅での特急は(神戸三宮行きを除き)「次は神戸三宮に停まります。」という案内が挿入されます。各停区間の一つ手前の停車駅というパターンは阪神線内においては御影のみとなっています。
ここまで、阪神電車の停車駅案内の差異についてご紹介しましたが、先述の通り最近は遅延発生時の非合理性を防ぐために全ての駅を読み上げるスタイルが大きく普及しつつありますが、その結果として定期設定でも冗長もしくは伝統を意識して煩雑かつ非効率的な案内になってしまう事態になっています。
なんとか上手く停車駅の数から駅ごとに停車駅案内の設定を変えられたら言うことなしですね。