高速神戸駅/新開地駅の旧式LED発車標の仕様解説

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高速神戸駅と新開地駅の発車標と言えばこちら。現在、新開地駅ではこちらの発車標は時代の流れで徐々にディスプレイ式に置き換えられ役目を終えていきつつあります。

そこで今回はこの発車標の仕様についてくまなく解説していきたいと思います。

yoshi223さん作成の発車標の再現シミュレーターはこちらですが一部挙動が異なる点がございます。そちらに関しても随時ご紹介します。)


設置時期は新開地駅は1999年、高速神戸駅は2000年でフラップ式(パタパタ)を置き換える形で登場しました。(参考:http://cemasa-rail.net/rail/annai/kobeksk_annai.htm)

製造メーカーは富士通機電(現富士通フロンテック)でかつて南海のパタパタや京阪淀屋橋駅の発車標などもそちらで製造されていました。(神戸電鉄方面の発車標もこちらが設置される以前にありましたが現在はディスプレイ式に置き換えられています)

まだ3色LEDやブラウン管式が主流だった当時では種別のみですが画期的なフルカラーLEDを採用しており多彩な組み合わせを表示することが可能になっています。

なお、表示上の乗り場案内については
新開地駅①②番乗り場:三宮・大阪方面のりば(For Sannomiya Osaka)
新開地駅③④番乗り場:明石・姫路方面のりば(For Akashi Himeji)
高速神戸駅①番乗り場:阪急方面のりば(For Hankyu Line)
高速神戸駅②番乗り場:阪神方面のりば(For Hanshin Line)
高速神戸駅③④番乗り場:山陽・神鉄(新開地のりかえ)方面のりば(For SanyoLine・ ShintetsuLine)
新開地駅コンコース①②:三宮・大阪・京都方面のりば(For Sannomiya Osaka Kyoto)
新開地駅コンコース③④:須磨・明石・姫路方面のりば(For Suma Akashi Himeji)

となっています。

簡易表示について

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まずは電車の情報を表示していない簡易表示からご紹介しましょう。

この様子が見られるのはしばらくの間電車が来ない時、次に発車する電車が次々発より後の時、そして反対側が乗り場として機能している場合(2番乗り場の電車は3番乗り場が、3番乗り場の電車は2番乗り場がそれぞれこうなります)です。

新開地駅では3番乗り場にてこの様子を一日中眺めることができましたが、現在は置き換えられたので、必然的に見られるのは高速神戸での終電間際のみとなりました。

この時種別欄は「赤→緑→オレンジ→青→黄→水色→白」の順に電車のアニメーションが繰り返し表示され、その右では啓発案内が固定で流れるようになっています。

内容は以下の通りです。

・「当駅は終日禁煙です。禁煙にご協力をお願いします。」
(※この時、「当駅は終日禁煙です」の部分でスクロールが一旦停止します。電車情報が出ている通常稼働時の場合は「禁煙にご協力」で止まります。)

・駅構内で不審物を発見された時は、至急係員までご連絡ください。不審物発見に皆様のご協力をお願いいたします。

・車内には、お年寄りや体の不自由な方の優先座席が設けてあります。皆様のご協力をお願いします。

兵庫県警察からのお知らせ振り込め詐欺に注意‼「電話番号変わった」という電話は詐欺‼「カード預かります」という電話は詐欺‼まずは警察に相談を‼
 (高速神戸駅深夜限定)

このことからこの発車標をプログラミングする際に当時兵庫県警察も関わっていたことが伺えます。それ以外の啓発案内は一切出すことは出来ません。

阪神電車においてもたまに大阪府警察から似たような詐欺防止の勧告案内が出されることがありますが関連があるかどうかは不明です。

通常稼働時について

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それでは、通常稼働時の様子についてご紹介します。

こちらでは発順、電車の種別行先、発車時刻、そして下段には停車駅とご案内、先述の啓発案内が流れるようになっています。

発順及び電車種別と行先、停車駅とご案内はそれぞれ英語での表示が可能となっています。
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各駅に停車の場合「停車駅:各駅に停車します。」と表示されます。なお、2016年ダイヤ改正まで終着まで各駅に停車する設定は元の種別に関わらず全て「普通」でのご案内となっていました。詳細は後述します。

到着の際は「電車が到着いたします」発車の際は「電車が発車いたします」が下段に表示されます。
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かつて神戸高速線、及び山陽方面始発の急行の設定もありましたか現在は消滅し現在は土休日の深夜のみ急行の表示を見ることができます。

なお、表示のフォントはFU明朝体です。富士通のホームページからダウンロードできるようになっています。(http://www.fujitsu.com/jp/products/software/applications/applications/oasys/download/oasviewer/install.html)
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快速急行の表示ですが、稼働開始時点では阪急であっても快速急行ではなく快速急行としか表示できない仕様でしたが、しばらく経ってようやく分けられることとなりました。

ちなみに、現在の阪神電車のシステムにおいては案内に「阪急」「阪神」と付く駅は全てその両方同名の駅が存在する場合のみ(神戸三宮、春日野道、御影、梅田)ですが、神戸高速阪神の管轄になる前の名残から、それ以外の駅に関しても阪急、阪神と表示される仕様となっています。快速急行の停車駅案内で阪急六甲と表示されるのも以前に山陽電鉄から阪急六甲行きの設定があったためです。
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平日限定の通勤特急ですが、2016年ダイヤ改正で今のスタンダードな表示に変わっており、それ以前は稀に見ない独特な表示となっていました。
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導入当時は以前に山陽電車通勤特急の設定があった(今のS特急)のでそれに準拠した形になっていました。

今では見ることができません。
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そして山陽S特急も似たようなデザインとなっていますが、こちらは今も変わっていません。

なお、停車駅での英語表記ですが、「○○までの各駅」の場合は「Every station till ○○」となり、「○○から各駅」の場合は「○○ and Every station aftar that」となっています。
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特急表示です。一見なんの変哲もないように見えますがこれが結構特殊で、特急と一纏めに言っても阪急の特急、阪神の特急、そしてかつては山陽特急も神戸高速線から存在しました。

そのため2016年ダイヤ改正前まで先述の通り姫路方面行きの阪神特急は全て普通表記、代わりに山陽特急が特急として表示される仕様になっていました。
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現在は神戸高速線始発の山陽特急は消滅し、これを機に全列車が種別通りの案内に変更されることとなりました。

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直通特急阪神梅田から山陽姫路を運行するものと高速神戸始発の嵐山行き(あたご)がありますが、後者に関しては運行当初は回送扱いとして表示されていました。

それから数年後に新たに表示が対応され、その時行先は「阪急嵐山」ではなく「嵐山」と表示されていました。

ただ、放送は依然として簡易のままでしたが、2016年ダイヤ改正以降はこちらも晴れて対応するようになっています。
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現ダイヤでは神戸三宮から板宿間各駅停車の直通特急ですが、このタイプの直通特急は当初西元町・大開停車でこの時こちらの発車標(神戸高速線各駅)では全て特急として処理されていました。まさに山陽特急と阪神特急の停車駅を合わせた形だったためです。

しかしそれが三宮から須磨まで各駅停車に設定が変わってから直通特急の表示が新たに追加されることとなりました。

なお、行先の変更によってはシステム上直通特急でも直通特急と表示される場合があります。
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そして、ダイヤが乱れた場合についてです。

現在は阪神アプリ内にて完全に表示を取りやめている場合は先述の簡易表示に、種別のみ表示できる状態の場合はこうなります。

ちなみに、西代行きや板宿行きと言った定期設定されない行先や臨時特急など表示として用意されていない場合は空白になります。
あと、以前は「調整中」(英語表示「Test」)の表示も用意されていたみたいですが、2009年以降この表示が見れたという報告がなく現在は阪神電車の管轄に移っている以上、残念ながら今後一切見ることはできないでしょう。

あと、回送の場合は「ご乗車にできません」が停車駅の代わりに表示されます。


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ということで今まで新開地駅のレトロな雰囲気を支え、稼働し続けてきた古き良き発車標も20年たった今、その役割はまた別のところへと受け継がれることとなります。

正直稼働当時のことなどまだ見ぬ知らない姿もたくさんあったはずですがそれはもう今は仕方ないということで…

私が記録できる範囲で、この時代の風景や思い出を後世に残すために精一杯努めさせていただきました。

たとえ時間が色褪せたとしてもその記憶が消えることのないよう、そしていつしか完全に役目を果たしてもなお、新開地駅や高速神戸駅を利用してきた皆様の足を支えてきた日々があったことをこれからも伝えていきたいと思います。

もう十分大切に使い続けてきたので、改めて、今ここでその敬意を讃え感謝の言葉を述べさせていただきます。

ありがとう、私たちの大切な発車標、そして…いつかまた大切にしてくれる人と巡り会えますように…