少し不可解な阪神電車の乗換案内のヒミツ

阪神電車の乗り換え案内といえば、「山陽電鉄方面、神戸電鉄方面へお越しの方はこの特急にご乗車の上、高速神戸でお乗り換えください。」だったり、「大阪梅田終点へお越しの方はこの快速急行にご乗車の上、尼崎で直通特急にお乗り換えください。」などが挙げられますが、時間帯によってはよく聞くと何故そこで乗り換えろと?みたいなおかしい形式のものがいくつか存在します。

 

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まずはこちら。元町での特急の「ご案内」をご覧下さい。

野田へは尼崎で急行に乗り換える点や難波方面へは尼崎で阪神なんば線に乗り換える点は何ら問題はないのですが、「今津、武庫川、奈良方面へは西宮で快速急行にご乗車ください」のところが些か不自然です。

 

発着順を見ればわかるように、その肝心の快速急行はその特急を見送ればすぐに乗車できます。何故わざわざ西宮まで移動を促しているのか、普通に考えれば不合理なところです。

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その理由は過去に遡ります。これは2008年2月現在の停車駅案内、つまり阪神なんば線開業前の各種別の停車駅となっています。

 

当時の快速急行は全て三宮(現神戸三宮)始発で平日の夕方にしか走ってない設定でした。

じゃあ三宮で乗り換えればいいじゃないか、と思いますが、当時の三宮は始発設定の発着が3番線であり、1番線から降りて乗り換えるには一度西改札の通路を抜けて迂回する必要がありました。そのため、出発に間に合わないケースや単に移動が面倒臭いというのも相まって当時の三宮で乗り換えるのは非推奨でした。

だからと言って今では全ての時間帯で停まる魚崎(2020改正以前は芦屋も)は当時の快速急行は通過しており直通特急や特急でそこで乗り換えるのは無理な話、なので「快速急行への乗り換えは西宮で」という文化が定着していきました。

 

それがダイヤ改正によって魚崎でいけるようになっても、三宮での乗り換えがスムーズになっても、はたまた新開地始発が設定されて後の電車に乗ればいい話であろうと、その形式が変えられず残ってしまったということです。

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【阪神電車】 西九条駅ミニ自動放送集

なお、この周りくどい乗り換え案内は下りにも存在します。朝ラッシュ時の神戸三宮行き快速急行は基本「神戸三宮まで先着、神戸三宮で普通に接続する」というパターンのため、阪神なんば線内での案内は「御影へは西宮で直通特急に乗換」ですがこれも昔の直通特急や特急は尼崎、甲子園には停車しなかったので西宮で乗り換えという形になっています。

 

ちなみにこちらのスクショは2018年現在のものですが2020年改正後も案内は据え置きのままです。それも一つの正解と言えばそこまでですが、そこは素直に「あとの快速急行にご乗車ください」に変えられないものなのでしょうか。