阪神電車のシステム調整中による表示リセットについて

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今年に入ってから台風や大雨の影響で阪神電車の遅延が非常に多く出没しています。
 

それによって阪神電車の運行管理システムについても阪神アプリの導入もあり断片的に判明していきました。むしろ阪神電車は遅延に遭遇してからが本番といっても過言ではないかもしれません。

 
今回は遅延時によるシステム調整の段階一つ一つを細かく解説していきたいと思います。
す。 

 まず、表示リセットには主に4つのパターンがあり、それぞれ
・付帯情報リセット(乗換案内などの付帯情報(阪神アプリ内【ご案内】)を消す)
・時刻リセット(発車時刻、行先だけ消す)
・表示リセット(次の電車情報の全てを消す)
・一斉リセット(表示リセットを全駅に適用する)
 
となります。
 
この表示リセットは運行管理システム導入の1990年の頃から用意されており現在においても各駅においてほぼその形式が丸々残されています。(要出典)
 

通常モード

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まずは特別何も起こっていない状況から。
この状態では列車種別や行き先と言った基本的な情報はもちろん、先着案内や接続案内、時には臨時停車案内といったような基本的な「ご案内」の項目が機能しています。
 
もちろん駅の放送においてもそれに対応した内容の案内が流され、これが普段の日常と言えるでしょう。
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ただし、この状態のまま遅延が発生してしまうとすぐさま問題点が出てきます。
 
例えば近鉄奈良行き快速急行が甲子園行きに行き先変更された場合、停車駅はきちんと変更後の行き先に対応しているものの、「ご案内」は元の行き先であったそのままの状態で反映されている為、尼崎に行かないのに尼崎で急行に接続するという魑魅魍魎でツッコミどころ満載な設定が誕生してしまうことになります。
これは先述の通り放送でもそのまま案内されてしまいます。
 
ということで、この問題点を解決するためには次のステップに進むことになります。

付帯案内リセットモード

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一見すると何の変化もないように見受けられますが、よく観察してみると近鉄奈良行き快速急行であるにも関わらず「ご案内」の項目がなくなっていることが分かります。
 
これが阪神電車の隠されしシステムの遅延調整第一段階【付帯案内リセット】です。
 
この状態になると「ご案内」がなくなったことで先程のような矛盾するような状況にはならなくなり発車標や放送もその元々存在していたご案内の内容に触れられなくなります。
 
さらに、放送面でもう一つ追加される機能があり、そう…それが「遅延限定の位置案内放送」でございます。
 
阪神電車の運行管理システムがこの状態で尚且つ本線の詳細型放送対応駅(野田、尼崎、芦屋、青木、大石、神戸三宮、元町など)では次の電車がその一つ手前にある詳細型放送対応駅を出発又は通過するとそれを知らせるように設定されています。
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そして、高速神戸駅と新開地駅の発車標ではこの状態になると発車時刻が表示されなくなってしまいます。これは如何に…
 
阪神アプリ、つまりシステムではきちんと存在しているものの20年前に設置された発車標ではどうやら遅延になるとその処理ができなくなるようですね…無念。

時刻リセットモード

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そして、それよりさらに酷い状態(行き先が現時点で決まらない状態になってしまう)に進行するとこのように電車種別以外の詳細が確認できなくなってしまいます。
 
これが遅延状態の第二段階【時刻リセット】です。
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発車標ではこんな感じ。発着順と種別以外ものの見事に見られなくなっています。
 
なお、既にお判りいただけているだろうが、このような表示取りやめは乗り場及び方面毎の設定を変えることができ、この阪神アプリ内での画面のように「明石・姫路方面」のみシャットアウトし梅田方面行きはきちんと表示するようにすることも可能です。
 
なお、こんな電車の設定の情報が入ってない状態で電車が接近してきた場合、放送は「♪~(入線メロディー) ※まもなく ○番線(乗り場)に 電車がまいります 黄色い線の内側へお下がりください (※繰り返し)」といった貸切でも使用される簡易放送が流れるようになっています。

表示リセットモード/一斉リセットモード

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これでもかなり曖昧になってしまいましたが、さらに酷くなるとこうなります。
 
阪神アプリでは「表示を取りやめています。」の一点張りになり、発車標やディスプレイの表示も完全に仕事をしなくなってしまいます。
 
これが遅延の調整中における最悪の段階となります。
 
そしてこの状態になるともはや詳細型の欠片もなくなり、接近時になると発車標には「電車が接近します。」といつもの「電車がまいります。」とは違い表現が固くなり、さらに簡易放送も「電車が近づいてまいります」といった他の非詳細型駅の案内と同じレベルにまで堕落してしまいます。
 
こういった感じで処理が完全に武庫川線のような簡易状態と同じになってしまうのです。

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時刻リセットと表示リセットの違いを比べてみるとこんな感じです。
このようにリセット形態によって発車標表示はもちろん、放送の形式も大きく異なっています。
 
また、表示リセットを全駅に適用することもでき、そちらは【一斉リセット】と呼ばれています。
一斉リセットが実際に使用された例としては2020年12月6日の運行管理システム障害や青木駅線路切り替え時(深夜)に確認されています。

以上、これが阪神電車の運行管理システムにおける調整中の情報表示リセットについてでした。
 
もし今後遅延が発生して阪神電車の特別な放送を収録したり発車標を記録したい時は是非とも参考にしてみてください。
そのためにはまず、阪神アプリのダウンロードが必要不可欠となるでしょう。
 
これにより現地の表示情報がどこにいても獲得できるのでもしどこの駅に行こうか迷った場合は画面とにらめっこして判断してみてはいかがでしょうか。